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拠点の町について

中央大陸の東側に浮かぶ島、霧の島と呼ばれるヒス島で最も大きな町レイナスが活動拠点となります。


ヒス島は中央大陸中央部にある銀の国最東端の領でもあり、異国との交易や外敵を防ぐ拠点としての役目を担っています。

古くは霧竜の棲む島として知られ、一時は悪魔と魔族によって支配された「堕ちた島」でした。

住処を奪われた霧竜と契約し、竜の力と人々の力をもって奪還したのが現在ヒス島を治めるアラミス家の初代当主です。およそ80年ほど前の出来事になります。

アラミス家は当時貴族ではありませんでしたが、ヒス島奪還の功績をもって辺境伯として認められ、現在に至るまで島を統治しています(一説では竜の力を得た危険人物を野放しにすることを恐れ、同時に国の中枢に置くことを拒んだ結果だともいわれています)。


当時霧竜と契約したウーゼル・アラミスは白く輝く剣を持つ剣士でした。冒険者として名高く、多くの仲間に恵まれていました。

ウーゼルは領主としての才覚はそれほど優れてはいませんでしたが、優秀な仲間に支えられて荒れ果てた島を整え、町を築き、霧竜とともに島を守ってきました。

ウーゼルと契約した霧竜は島を奪還した彼の誠意と勇気に応え、アラミス家とその庇護下にある者達を襲うことのないよう、自身の血族に言い聞かせたといいます。

竜公と呼ばれ人々に愛されたウーゼルの統治は37年に及びました。彼は人間にしては珍しく80歳まで生き、その生涯を終えています。


現在の領主は竜の契約を引き継いだ4代目、ウーゼルの曾孫モルガナです。優れたマジックユーザーでもあり、人々からは敬意をもって「霧の貴婦人」と呼ばれています。

まだ若い女性ですが、夫は迎えず、いずれは年の離れた弟を跡継ぎにすることを公言しています。


領主のお膝元、レイナスは港を抱えた海沿いの町です。港を見下ろす高い崖の上に領主の館があります。

ウーゼル自身が冒険者だったこともあり、旅人や冒険者にとっては過ごしやすい町でしょう。

ギルドや教会によってその人柄や能力が保証されてさえいれば、身分や国、種族、経歴を問わず誰でも立ち入ることができます。


レイナスには各ギルドをはじめ、およそ冒険者に必要な施設は一通り揃っています。

場所によっては荒くれ者として敬遠されることもある冒険者ですが、レイナスではそういったことは滅多にありません。

腕利きの冒険者が集まる町として、遠方から依頼が入ることも珍しくないようです。


町には川から水路が引かれ、潮風が吹き、目抜き通りには各地からやってきた商人や職人による店が並んでいます。

職人街は昼夜問わず鉄を叩く音や木を削る音、機織りの音などが響いているでしょう。

竜と並び立つウーゼル像が置かれた広場では旅芸人がその技を披露しているかもしれません。

冒険者や町の人々が憩う酒場では吟遊詩人が過去の英雄を称えているかもしれません。

エルフとドワーフが言い合う声、フェアリーとマーフォークが仲良く歌う姿、竜人と鬼人の力比べなど、他ではなかなか見られないような光景がそこかしこにあるでしょう。


目抜き通り(メインストリート)

レイナスで最も大きい通りです。

中央に水路が流れ、いくつもの橋がかかっています。

店や宿、酒場も多く、主要な施設のほとんどが目抜き通りに面しているでしょう。露天商もよく見かけます。


霧港

単に港とも呼ばれます。大小さまざまな船が出入りする港です。

緩やかに円を描く湾の端、領主の館が立つ崖とは反対側に灯台があり、灯台守が夜ごと火を灯しています。


領主の館

港から仰ぎ見ることができる断崖絶壁の上にありますが、港から直接向かうことはできません。

門は衛兵によって守られており、基本的に関係者以外は出入りできないようになっています。


職人街

港のほど近くにある、建物が競い合うように並ぶ区画です。

通りごとに彫金通りや鍛冶通りなどと呼ばれ、それぞれ専門の職人達が集まっています。


新市街

東方大陸での戦争や魔物の襲撃による移民が増えたことから拡張された区画です。

旧市街より外側にあり、孤児院もいくつか建てられています。

エルフの協力を得て森を切り拓いて作られた区画で、旧市街に比べると開放的で自然が多いでしょう。リスやウサギなどを見かけることもあるかもしれません。


旧市街

80年前にウーゼルとその仲間達によって作られた区画です。

当時町づくりを先導したドワーフは今も町に残り、職人街を切り盛りしているといわれています。

狭い路地が多く、古風な佇まいが特徴です。どことなく猫が多い気もします。

裏通りには賭場や娼館が並ぶ場所もあるようです。


転移門

レイナスの転移門は元は市街地の外側、旧門の近くにありました。

が、新市街ができた結果その場所は旧市街と新市街の間に位置することになり、今ではレイナスの中央付近にあります。

衛兵の詰め所が隣接し、転移門が設置された建物では衛兵達が人の出入りを厳しくチェックしています。


共同墓地

町の北側にあり、教会から派遣される墓守が手入れをしています。

レイナスでは基本的に遺体は神術で聖別されたのち土葬されます。

ウーゼルの墓もあり、訪れた人々の献花で意外と彩り鮮やかでしょう。


郊外

畑や牧草地、風車小屋などがあります。また、家畜の放牧なども行われています。

衛兵が守る外壁の外側にありますが、狩猟採集ギルドの見張り小屋が数箇所あり、ギルド員が交代で巡回などをしているようです。