暦と季節、行事
ロールのしやすさを考慮し、イリンの暦は現代と基本的に同じとして扱います。
基本的にはリアルタイムを参照し、現実で1月ならイリンでも1月となります。
1年=12ヶ月=365日。
1日=24時間ですが、人々は教会の鐘の音や太陽・星の位置を頼りに生活しているので、厳密に時間を把握しているわけではありません。精巧な時計はなく、日時計や水時計、大型の機械時計(数時間ずれる精度の低いもの)も一般の家にはありません。
暦を正確に把握しているのはごく一部の特権階級に限られ、多くの人々は教会が執り行う儀式や祭りの時期、季節の移り変わりなどから今がいつ頃か認識しているようです。
季節
拠点となるヒス島では春夏秋冬、それぞれの季節があります。
基本的には日本の四季をイメージしていただいて構いませんが、夏でも日本の猛暑日ほど気温は上がりません。アスファルトの照り返しはなく、海風が吹き抜けて比較的過ごしやすいでしょう。とはいえ、日本の猛暑日を経験したことがないヒス島の人々にとっては充分暑いものかもしれません。
春は春らしく、夏は夏らしく、秋は秋らしく、冬は冬らしく自然が移り変わるでしょう。
ロールのしやすさを考慮して、ヒス島の天候は基本的にはリアルタイムを参照してください。
とはいえ日本国内でも場所によって天候は変わりますので、ロールの際はセッション・イベント内ではGMの指示に、キャラチャットではそのとき最初に天候指定した人に倣うようお願い致します。
行事
イリンには各地にさまざまな祭りや儀式があります。
下記にあるのはそのごく一部です。下記以外にも、参加者は世界観やルールに反していない限り自由に設定することができます。
また、似たような祭りでも地方によって呼び名や由来、開催期間などが異なることはよくあるでしょう。
新年祭(1月1日~)
光の神シズリを中心に、各神殿で新しい年の始まりを祝います。
深夜、新たな年の訪れを告げる鐘の音が始まりの合図です。
光の神々の神殿では夜空を美しい幻影が彩り、火の神々の神殿では新たな火が灯されるでしょう。
神格や地域によって祝祭の内容はさまざまです。祝い酒やご馳走を振る舞ったり、歌や踊りを披露したり、はたまた静かに祈りを捧げて過ごすという場所もあるかもしれません。
初日の出を拝むと幸運が訪れる、とも言われていますが、これは東方から伝わった風習のようです。
場所によって異なりますが、3日から10日ほど続きます。
感謝の日(2月14日)
竈の神アムにちなんだ行事です。
元々は日頃の感謝を込めて自ら手がけた料理や織物、細工物などを贈り合う日ですが、今では家族に限らず、「お世話になっている人に感謝を伝える日」として広まっています。
一部では更に転じて、「想い人と愛を深める日」「意中の人に告白する日」とされているのだとか。
春祭り(3月1日~4月1日)
氷雪の神クレメチカと花の神サニエによって冬の終わりと春の訪れが告げられます。
籤や占い、神託など地域によって異なる方法で選ばれた成人前の少女達が踊りを奉納する祭りです。
また、美しく飾り付けられた御柱が、若い男衆によって神殿の前や集落の中心などに建てられます。
春祭りの間、選ばれた若者達は半分をクレメチカの神殿で、残り半分をサニエの神殿で過ごすことが多く、それがきっかけで恋仲となる者達もいるそうです。
春の腕比べ(4月中)
力の神ヴァトゥの名のもとに行われる、半年に一度の大掛かりな腕比べ大会です。
春の腕比べは魔法や神術で競われます(BPおよびSPの使用不可。秘蹟の天使召喚は使用可)。支援に特化した者もいることから対戦相手を打ち倒す模擬戦ではなく、術の精度や威力を競う形式が採用されることも多いようです。
ルールや内容、期間はその土地や参加人数によって変わります。
勝者には惜しみない賞賛と名誉、名声が与えられるでしょう。
試合中の怪我などは控えているヒーラーが速やかに治療することになっています。
春の慈善市(5月10日~5月25日)
基本的には都市部で行われる慈善市です。
財の神ダグスの名で毎月行われる慈善市のなかでも特に規模が大きく、半月ほど続きます。
春の慈善市は工芸の神ティエ、炉の神ミスロとともに開催され、さまざまな工芸品や工具、武具などが出品されます。
掘り出し物を求めて、多くの人々が訪れるでしょう。
夏の祝い(夏至から10日間)
魔除けや先祖供養、暑気払いなど、各地でさまざまな形で伝えられています。
火の神オヴナリガンの神殿では悪魔を追い払うため、夏至から3日間「祝い火」が焚かれるでしょう。また、火山の神ヴォルノグの伝承ではこの期間は湯治の効果が高まるとされています。
悪霊を退けるために派手に歌い踊り騒ぐ、死者のために灯籠を川や空に流すなど、各地でさまざまな祭りが行われているようです。
芸術祭(7月15日~7月31日)
都市部で行われる祭りで、芸術の神ヤナピアの名のもと華やかに開催されます。
身分や種族問わずさまざまな芸事・作品が披露されます。芸術を知らしめ、その価値を高めるとともに新たな才能を見出す祭りでもあります。
一部ではオークションや優劣を競うコンテストが開催されていますが、ヤナピアの神殿は公にはその一切を認めていません。
場所によっては、祭りに乗じて盗品や希少生物のオークション、違法な人身売買が行われているという噂もあるようです。
トゥピアの羽衣(8月1日~8月20日前後)
毎年この時期に夜空を彩る流星群を「トゥピアの羽衣」と呼びます。地域によっては別の名で呼ばれているでしょう。
見れば星の神トゥピアの加護が得られると信じる者もいれば、不吉や災いの予兆だとして夜間の外出を避ける者もいるようです。
星屑の欠片や星の尾を見つけることができれば願いが叶う、という言い伝えが残る地域もあるのだとか。
この時期は精霊や妖精が活気づき、人目につくことが多いのだとも言われています。普段は見られないような珍しい「親切なお隣さん」や「気のいい人達」(悪戯好きでときに厄介事を招く妖精に対して、障りのないように配慮した呼称)に会うことができるかもしれません。
慰霊の日(9月4日)
ヒス島の慰霊の日です。
かつて堕ちた島であったヒス島を奪還した戦勝記念日であり、その戦いで命を落とした人々──英霊を偲ぶ日でもあります。
かつての辛く苦しい日々を忘れず、勇敢に戦った人々を想い、平穏な時代に感謝を捧げます。
一部の竜人は霧竜への敬意のあらわれとして、広場にある霧竜の像に頭を垂れるのだとか。なかには酒や肉を置いていく者もおり、そうした捧げ物はアラミス家が回収して霧竜のもとまで持っていくことになっています。
また、共同墓地にあるウーゼルの墓や英霊達の墓は献花で埋もれるほどになるのだそうです。
収穫祭(9月~10月)
農村部を中心に各地で行われる祭りです。大地の恵みに感謝し、来年も豊かであるよう祈ります。
豊穣の神シャルシスを中心に森の神シルヴァル、海の神ラグナクア、山の神オグ・ダ、牧畜の神エルヤなど、その土地ごとにさまざまな神に感謝が捧げられるようです。
この時期、酒場などでは酒の神シャルゼスへ感謝を捧げるという名目で、酒好き達が昼間から酒を酌み交わす姿がよく見られます。
秋の腕比べ(10月中)
力の神ヴァトゥの名のもとに行われる、半年に一度の大掛かりな腕比べ大会です。
秋の腕比べは剣や拳、弓などで競われます(魔法・魔導・神術・秘蹟の使用不可)。基本は1対1の模擬戦で、わかりやすさからか春の腕比べより盛り上がることが多いようです。
ルールや内容、期間はその土地や参加人数によって変わります。
勝者には惜しみない賞賛と名誉、名声が与えられるでしょう。
試合中の怪我などは控えているヒーラーが速やかに治療することになっています。
また、東方で鬼人が大きな石や丸太などを抱えて力比べをする秋祭りの風習が、現在では鬼人独自の秋の腕比べとして変化した地域もあるようです。
秋の慈善市(11月1日~11月15日)
基本的には都市部で行われる慈善市です。
財の神ダグスの名で毎月行われる慈善市のなかでも特に規模が大きく、半月ほど続きます。
秋の慈善市は旅の神リタアルとともに開催され、異国の品や魔法道具、謎の宝の地図、嘘か本当かわからない情報などがやりとりされます。
掘り出し物を求めて多くの流れ者や行商人がやってきますが、脛に傷持つ輩も多く、治安は悪化しがちだとか。
エルヤの贈り物(12月24日~12月25日)
その1年、善行を積んだ子供には牧畜神エルヤから贈り物が与えられる、という伝承があります。
また、この時期は竈の神アムが素晴らしい料理を振る舞うともいわれ、幼い神エルヤと子供の守護者でもあるアムにはなんらかのつながりがあるとも言われています。
これらの伝承にあやかって、実際に子供に贈り物をするのはその周囲にいる大人でしょう。家や庭、街路樹を飾りつけ、アムのように料理を振る舞い、エルヤのように眠る子供達の枕辺に贈り物を忍ばせる姿が見られるかもしれません。
子供に限らず、1年の労をねぎらい互いの幸せを分かち合うという名目で金品や料理を贈り合う地域もあるようです。
祈りの日(12月26日~12月31日)
闇の神ジョセアラを中心に、1年の終わりを心静かに過ごす期間です。
神々や精霊に感謝を捧げ、来年も平穏であるように祈ります。
この時期は仕事を休み家族で過ごす者も多いようです。
先のエルヤの贈り物や年明けにある新年祭の華やかさとは異なり、人里は穏やかな静けさに包まれるのでしょう。