その他の種族
イリンに存在しているものの、PCとしては作成することができない種族です。
ここに載っていない種族でも、世界観やルールに反していない限り自由に設定していただいて構いません。
竜
神々を除けば世界最強と恐れられる種族です。竜族とも呼ばれています。
火竜や海竜、砂竜などいくつもの系統に分かれ、その姿や大きさ、性質、能力は千差万別です。中には子供より小さな竜種もいるかもしれません。
寿命は数百年から数千年ともいわれていますが、好戦的な個体が多く縄張り争いなどで殺し合うため、長生きする竜はあまり多くないようです。
ある程度歳経た竜は人語を解すると言われており、ごく稀に人との交流を好む者もいるようです。
中には人を襲わない代わりに生贄を要求する竜もいるかもしれません(少なくとも交渉ができるのなら、まだ竜の中では穏和なほうだと言えます)。
それぞれの眷属である竜人との関係もさまざまで、共生する竜もいれば無関心・無干渉の竜もおり、なかには気まぐれに食べてしまう竜などもいるようです。
もしも獰猛で恐ろしい成熟した竜を倒すことができたのなら、竜殺しとして名をあげることができるかもしれません。
けれど、それは簡単なことではないでしょう。比較的遭遇率の高い幼竜や若い竜であってもその強さは驚異的です。
「竜殺し」の称号は冒険者の憧れであると同時に、命知らずの愚か者の夢でもあるのです。
天使と悪魔
善き神々の使いを天使、悪しき神々の使いを悪魔と呼びます。
比較的わかりやすい姿で現れることが多く(目的に合わせて自由に姿を変えることができるのだろうとも言われています)、例えば天使なら背に純白の翼を持つ人間のような姿であることが多いようです。
悪魔は天使よりもそれぞれの差が大きく、個性的で恐ろしい姿で現れると言われています。
善き神々を裏切り堕天した天使、堕天使は悪魔に分類されます。
基本的になんらかの目的のために人前に現れる存在でしょう。
天使は善き神々に従い人の尊厳を守り、命を尊び、信心者を加護します。
その厳格さはときに冷徹に見えることもあるかもしれません。
北方大陸の一部には勇敢な戦士の魂を導く天使、戦乙女の伝承があり、素晴らしい戦いぶりで散った魂は彼女たちに認められ、神々の住まう城に招かれるのだと言われています。
戦乙女に選ばれるのは戦士として何よりの誉れだとされ、かの地では史上でも多くの勇猛な戦士が輩出されています。
悪魔は悪しき神々に従い人の尊厳を踏みにじり、命を弄び、魂を奪い取ります。
望みを叶えよう、などと甘い言葉で契約を持ちかけるのはよく使う手口です。
契約せざるを得ない状況に追い込んで強引に契約を結ぶこともあり、一度契約したら最後、契約者は代償に魂を奪われることになるでしょう。悪魔と契約した者を「悪魔憑き」と呼びます。
悪魔に奪われた魂が救われることはまずないと言われています。
天使や悪魔には階級があると言われていますが、詳細はわかっていません。
天使を召喚する秘蹟があるように悪魔を召喚する黒魔術もありますが、禁術として封じられています。
精霊
水や風、花や雨など、さまざまな属性や物質、現象などに宿る存在です。
大きくは水火風土光闇聖邪とそれ以外の9つに分類されます。9つめに属する精霊が人前に出ることは珍しいとされています。
精霊の種類は多く、あまり知られていない希少な精霊もいるようです。
その力を使い果たすことで消滅すると言われていますが、基本的に寿命はありません。
精霊には能力別にランクがあり、低級精霊は数こそ多いものの意志薄弱で姿も小さく、素質ある人にだけおぼろげに感じることができる程度の力しか持っていないでしょう。
中級精霊には人に似た個性と自我がある者もおり、契約者の影響を受けてその姿を変えたりもします。
上級精霊は豊かな個性と強い自我、自由に姿を変えることができる優れた力を持つと言われています。
基本的にマジックユーザーと契約するのは低級から中級までの精霊です。
上級精霊と契約を結ぶことができるとしたら、それは歴史に残るような偉大な魔法使いでしょう。
精霊にとって、人と契約を結ぶのは必ずしも悪いことではありません。
多少の不自由と引き換えに、相性のいい契約者であればわずかとはいえ能力の増幅ができ、消滅するまで終わらない時間の暇つぶしにもなるからです。
契約を望む者が自らに見合う実力と好ましい性格・性質を持つかどうか。
特に初めて契約をしようという見習い魔法使いは、何度も精霊との対話をすることになるかもしれません。
上級精霊の中には王と呼ばれる存在がいると囁かれていますが、実際にいるのかどうか、それが人が呼ぶところの「王」と同義であるのかどうかはわかっていません。
魔物
イリンにはゴブリンやオークなど、多くの魔物が生息しています。
人を襲うことがある狼や熊といった普通の獣とは明らかに異なる存在で、その始祖は悪しき神々によって汚れた大地から生じたのだとされています。
悪しき神々の信心者であり、善き神々の信心者とは基本的に相容れないでしょう(特殊な魔法などによって、魔物を支配し使役する技術はあるようです)。
一部の魔物は肉や角、骨、血などが魔法道具や薬の材料などに利用されています。
正しくは精霊や妖精に該当するものが「人に有害だから」という理由で魔物として呼ばれていることも多々あります。
ざっくりと「魔物=有害な生き物」ぐらいの認識の人も一定数いるため、討伐依頼では実際には何を相手にする依頼なのか、ということはよく確認する必要があるかもしれません。
最弱とされるゴブリンでも地域によってその性質や能力は異なり、中には弓や魔法を扱うゴブリンもいるようです。
魔族
魔族は悪魔によって「祝福」を与えられた人や動物、魔物などが変じた姿だと言われています。悪魔の「祝福」を受けるためには生贄が必要で、それには親しい者の血肉と魂が最適なのだとも囁かれています。
元がなんであれ、一代限りで繁殖能力はありません。かつての記憶が残っているかどうかは悪魔次第のようです。
その肉体は恐ろしい化け物へと変じますが、より美しく、より魅力的な姿へと偽ることができます。基本的には偽りの姿で人前に現れるでしょう。それはかつての姿と変わりなく見えるかもしれません。
魔族は自らを作り変えた悪魔の最初の命令に従って行動します。「弱者を屠れ」「生き続けろ」「愉しませろ」など、悪魔はごく単純な命令を与えると言われています。
目的のためなら、かつての家族や恋人、人の親切心さえ利用します。
魔族となった者は能力の強化とともに寿命も伸びる傾向にあるようです。その心も体も決して元に戻ることはなく、死後その躯は腐ったような臭いを放つ有毒の泥と化します。
優れた魔族はやがて悪魔として悪しき神々に召し抱えられる、という説もありますが、真相はさだかではありません。
魔族についての情報が出回ることは多くなく、世間ではその存在や危険性についてあまり知られていないかもしれません。